膜を用いた構造物は,仮設建築物として,EXPO' 70,奈良シルクロード博, 国際花と緑博などでのパビリオンがある。 そして,恒久建築物として,東京ドーム,出雲もくもくドーム, あきたスカイドームなどがある。
現在,恒久建築物に使用されている膜材料は, PTFE(四フッ化エチレン樹脂)コーティッドガラス繊維織物 と呼ばれるものである。 この膜材料を2方向に引張った時, 引張力と伸びとの関係は曲線を描く。 さらに,この2方向に引張力の比が変わると, 引張力と伸びとの関係を示す曲線の形状がいろいろと変化する。 このような結果を踏まえ, この引張力と伸びとの関係を数式的に表すことが必要なる (膜材料の構成則)。
一方,膜材料は圧縮力に対してほとんど抵抗できないため, 膜材料を構造物に用いる場合,圧縮力が加わらないようにしなければならない。 このため,膜は至るところで引張力が働き,力が釣り合うことのできる 曲面を求めなければならない (膜構造の形状解析)。
また,内部に引張力が導入された釣り合い曲面に 雪が積もったり,風に吹かれたりしたとき, 膜にどれだけの引張力が働き,伸びて,破れるかどうかや, 全体的な構造の形状がどれだけ変化するかなどを 調べなければならない (膜構造の応力・変形解析)。
現在,主として以上の3つのことに注目して研究をしています。